総勢276人の少女たちが誘拐されたナイジェリア女子生徒拉致事件が世界的に大きく報道された2014年。その後もボコ・ハラム等の武装勢力による襲撃、強奪、焼き討ち等は後を絶たず、ナイジェリア難民危機は約10年続いています。そして今現在も、この地は激化する暴力行為、広がる性的暴力、徴兵・自爆テロの脅威といった重大な人権危機に直面し、多くの人々が国内外で避難を強いられているのみならず、サヘル地域等の周辺国の情勢不安により故郷を追われた約50か国10万人以上の難民や庇護希望者を受け入れています。
そして、常に暴力と情勢不安にさらされているこの地は2024年9月、大規模な洪水に襲われ、緊急の支援を必要としています。暴力や迫害のみならず、気候変動による自然災害によって、人々はさらなる苦難を強いられています。
2024年9月、ナイジェリアで大規模な洪水が発生

ナイジェリアを襲った壊滅的な豪雨・洪水により、北東部ボルノ州をはじめ、ナイジェリアの36州のうち30州が被害を受け、100万人が被災、64万人以上が家からの避難を強いられています。数百人の命が奪われ、ダムが決壊、国内避難民キャンプも被災する等、壊滅的な状況です。道路や橋などのインフラが損壊したため、病院や学校、市場といった必要不可欠なサービスへのアクセスが妨げられている他、電気や通信網にも影響が出ています。また、収穫期を目前にした農地への影響も甚大です。
UNHCRはパートナー団体と協力して現地で被害状況等の調査を行い、避難を強いられた人々へ、防水シート、蚊帳、就寝用マット等、救援物資を提供している他、命を守る救援活動を実施。加えて、一人親家族、障がい者や幼い子どものいる世帯といった。脆弱な立場に置かれた人々への現金給付支援も実施しています。
ナイジェリア難民:38万3000人、国内避難民:316万8000人以上
(2024年8月現在)

チャド、ニジェール、カメルーンにまたがるナイジェリア北東部のチャド湖周辺、そしてナイジェリア各地で状況は悪化しています。2024年2月にはナイジェリア北東部ボルノ、アダマワ、ヨベの3州で、武装勢力による暴力行為によって民間人の死者が報告される等、治安は著しく悪化しています。この地域では、2月だけで1万2000人以上が避難を強いられており、情勢不安、強制避難のみならず、人道危機による生活の困窮化も大きな問題となっています。
また、周辺国のカメルーン、ニジェール等の情勢も悪化しており、これらの国々からも難民が押し寄せる「危機の中の危機」が続いています。そんな中、ラウル・マゾゥUNHCR高等弁務官補はこう訴えます。「家族が毎年援助に依存し、このような状況が長引くのを見過ごすことはできません。難民や国内避難民は、施しよりも仕事が欲しいと繰り返し語っています。」
戦火を逃れ、故郷を追われる人々
避難の途中で命を奪われた妹の子どもの世話をするハブソーさん

武装勢力がハブソーさんと妹マリアマさん*の暮らす村を襲撃した時、彼女たちは子どもの手を取り、一目散に逃れました。「その時、妹の出産が始まったのです…。」24時間の徒歩という厳しい避難の旅の中、妹マリアマさんは出産で命を奪われました。そして生まれてきた赤ちゃんも、生後わずか数日間で息を引き取りました。
今、ハブソーさんは、避難先の隣国ニジェールで、自分の5人の子どものみならず、妹マリアマさんの4人の子どもたちの世話もしています。ナイジェリア、ニジェールやこの周辺のサヘル地域も、気候変動に脅かされ、水ややせ細ったリソースを求めて対立が絶えない地域です。
「夫はどうなったのか分かりません。人生の中で最もつらく、厳しい試練です。しかも、私にできることは何もないのです。」
* 名前は個人保護のため変更されています
1年半、武装勢力に誘拐されていた少女・ペイシェンスちゃん(5歳)

ペイシェンスちゃん(5歳)は、救出されてカメルーンに逃れるまで、約1年半、ボコ・ハラムに誘拐されていました。その後、隣国カメルーンに逃れ、現在は難民キャンプで家族と暮らしています。
ナイジェリアでの暴力行為の横行により、多くの子どもたちがペイシェンスちゃんと同じように親と引き離され、厳しい生活を強いられています。犠牲となった子どもたちは、学校に行けないまま教育機会を失うだけではなく、心に大きなトラウマを持つことが多く、医療支援や教育支援のみならず、メンタルケアも必要とされます。
社会経済の不安や、慢性的な貧困と伝染病、厳しい気候、インフラや生活サービスの不備により、避難民の保護は難航していますが、UNHCRはこのような難民・避難民を支援するため、現地での活動を続けています。
UNHCRの支援活動


UNHCRによって実施された支援のかたち
女性支援プログラムによるリサイクル・アイテム

ジュリアナさん、カティナさん、レイティさんの3人はナイジェリア東部にあるヨラという町で避難生活を送る国内避難民です。彼女たちはUNHCRとパートナー団体が提供する支援プログラムの一環により、廃棄物でさまざまなグッズを作り始めました。彼女たちが作ったバッグは、環境を守るリサイクル・アイテムとしても好評を博しています。
UNHCRは、紛争や迫害の被害にあった女性に対して身体的・心理的ケアをするのみならず、教育や職業訓練を通じて、女性の経済的自立を促す活動も実施しています。
故郷の味を披露する難民料理フェスティバル

ナイジェリアのホテルで3年間コックの修行をしたティモシーさんは、故郷を追われて難民となり、スウェーデンに逃れました。彼は母親から受け継いだナイジェリアの味を広めるため料理を続け、2017年、UNHCRとパートナー団体によってヨーロッパで開催された難民料理フェスティバルで、故郷の料理を披露しました。「皆さんに私の料理を披露する機会をいただき、とても嬉しいです」と語ったティモシーさん。
UNHCRは、難民の才能を伸ばし、社会統合を促進するための自立支援活動を実施しています。
増え続ける難民、支える資金が足りません

UNHCRの支援プロジェクトには、人々の権利の尊重、性的暴行及び性に基づく暴力の犠牲者への法的・心理社会的サポート、シェルター・生活用品の供給といったサポートが含まれます。UNHCRは平和と安全の保障と基本的サービスへのアクセス、そして人々の安全な帰還を提唱します。
ナイジェリアの人々の安全を守るUNHCRの活動に、どうぞご協力ください。
私たちの活動に力をお貸しください

暴力と貧困に苦しむこの国の人々は、生き延びるための必要最低限な物資も受けられず、こうしている今も、自爆テロや少年兵への徴兵、そして性的暴力に怯えながら、避難生活を送っています。どうぞ、彼らの命と希望を、私たちと一緒に支えてください。あなたの支援は、UNHCRが必ず届けます。
あなたのご支援でできること
※1ドル=149円換算



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*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

