難民と移民に関するニューヨーク宣言では、国際的な難民対応において、教育は重要な要素であると述べています。さらに、持続可能な開発目標(SDGs)は、「全ての人が参加できる質の高い教育の提供と、生涯学習の推進」を目標として掲げています。
UNHCRは、難民の子どもと若者達が、どこにいても質の高い教育を受けられるよう、政府や国際機関と連携して取り組んでいます。あなたのご支援で、難民の子ども達は自身の生活をどのように立て直せばよいか、学ぶことができるのです。
教育が果たす役割
教育は、1989年の子どもの権利条約と1951年の難民条約でも定められている、基本的人権です。教育は様々な役割を果たすことで、子ども達を保護してくれます。
例えば・・・
- 武装グループからの強制徴兵や、児童労働、性的搾取や児童婚などから、子どもや若者達を保護してくれます。
- 教育を通じて、コミュニティの回復力も強化されます。
- 難民に生産的で自立した生活を送るための知識やスキルを提供し、そして活力を与えてくれます。
- 難民自身や、自身を取り囲む環境について学ぶことができるようになるだけでなく、彼らの生活とコミュニティを再建できるよう取り組むことを啓発します。
UNHCRが取り組む教育支援
UNHCRは難民の子ども達が安全に教育を受けられるよう、現金給付支援や教員育成のための研修の実施や、安全に学習ができる教室の設置などを、教育支援に携わるパートナー団体とも密接に連携をしながら取り組んでいます。例えばUNHCRとパートナーを組んでいるEAC(Educate A Child)プログラムは、難民の子ども達の初等教育における進学率及び進学継続率の改善に貢献しています。 一方で中等教育においては、故郷を追われた難民の子ども達や若者の複雑な事情から、進学率が改善されにくい傾向にあります。UNHCRはパートナー団体等と連携しながら、下記のような取り組みも行っています。
- AE(教育促進)プログラムを通じて、長期間教育を受けられなかった難民の若者と子ども達に学習の機会を提供しています。
- パソコンやタブレットなどのデジタル機器を利用した、教育の質の改善に取り組んでいます。
- 難民の事情や必要性に応じた技術・職業訓練を実施しています。
- 学習の機会を得られなかった難民の若者のために、基本的な読み書き教室も実施しています。
またコロナ禍においては、2013年に開始したタブレット等の電子機器を利用するオンライン学習プログラム、即席ネットワーク教室が、新型コロナウイルスの影響で学校が休校になった多くの子ども達に教育の機会を提供しています。
UNHCRは、高等教育支援の一環としてDAFIプログラムやRHEPプログラムなどにも取り組んでいます。
アルバート・アインシュタイン難民学術イニシアティブ(DAFI)プログラム
アルバート・アインシュタイン難民学術イニシアティブ(DAFI)プログラムは、優秀な難民や帰還した学生に、自国や避難先の国で高等教育を受ける機会を与えてくれるプログラムです。ドイツやデンマーク、チェコの政府や、個人支援者から寄せられた奨学金により、1万8000人以上の難民の学生が、4年制大学に進学することができました。DAFIプログラムは、雇用や起業の機会へのアクセスを増やすことで、難民の学生の自立支援を行います。またプログラムを通じて、難民の学生に知識やスキル、リーダーシップを伝えることで、避難時や帰還時における受入コミュニティとの平和的共存を促進できます。生涯学習を推奨することで、教育を通じた難民保護を強化するほか、教育を通じて難民の子どもや若者達が個人やコミュニティ、社会に与える影響を、実際の模範を通じて実証するのです。
UNHCR難民高等教育プログラム(RHEP)
UNHCR難民高等教育プログラムは、日本に住む日本国籍を持たない難民が、奨学金を受けながら日本の大学で就学できるようサポートするプログラムです。奨学金には、授業料などの学費が含まれます。大学によっては、学生生活のために毎月の援助がある場合もあります。このプログラムは、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所と、UNHCRの活動を支える公式支援窓口である、特定非営利活動法人国連UNHCR協会が運営しています。
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