無国籍者の保護
UNHCRの活動
無国籍者の保護

無国籍者とは、どの国からも国民として認められていない人々を指します。生まれつき無国籍の人もいますが、無国籍になる人もいます。国籍という正式な法的結びつきがないために、無国籍者はしばし疎んじられ、基本的人権の侵害を受けやすい状態にあります。各国政府は、無国籍者に対して必要な法的・政策的改革をする責任があるのです。

1994年からの一連の決議を通して、国連総会は、無国籍を防止、削減するだけでなく、無国籍者の権利を守る任務を、UNHCRに与えています。UNHCRの無国籍者に対する4つの任務は、下記の通りです。


①把握:無国籍者の数、原因、彼らが抱える問題に関する情報の収集すること。
②防止:無国籍の原因に対処するほか、無国籍の削減に関する1961年の条約に、各国の加入を促すこと。
③削減:無国籍者が国籍を取得できるよう、各国の法改正や法整備を支援し、改正された法律を個々の無国籍者が享有できるよう支援すること。
④保護:無国籍者が自身の権利を行使できるよう支援するほか、無国籍者の地位に関する1954年の条約に各国の加入を促すこと。

UNHCRは政府及びその他の国連機関、そして市民社会と協力して問題に取り組み、これらの任務を遂行します。

 

無国籍になる原因


・国籍法の隔たり:
どの国でもどのような状況下で国籍を取得したり、はく奪できるか等を制定する国籍法があります。この国籍法が誰も取り残されることなく適切に制定されなかった場合、その対象から漏れ無国籍となってしまう人々がいます。例としては、国籍を血統に基づいて制定している国で両親が不明の子どもが発見された場合、などが挙げられます。幸いなことに多くの国の国籍法では、両親が不明でもその国内で子どもが発見された場合は国籍を取得できるようにしています。


・人々が出生国から移動した場合:
国外で子どもが生まれた際に、その国が自国内で出生した事実だけで国籍を取得することを認めていない場合や、親の出身国が血縁を理由に国外で生まれた子どもの国籍の取得を認めていない場合、子どもは無国籍になる危険性があります。また国籍を継承できるかどうかについて、中には差別的な法律を制定している国もあります。例えば世界の27か国の国では、女性が(男性はできるにも関わらず)子どもに国籍を受け継がせることができませんし、一部では特定の人種や民族の人々に国籍を与えない国もあります。


・新しい国家の誕生や、領土が変更された場合:
国が独立をする際やそれに伴い領土が変更された場合、その国は自国民を定義します。かつては民族を基準として国籍を決定する国が多かったため、多くの人々が除外されていました。また新たに制定された国籍法のよくある問題としては、国籍を取得できる対象が限定されたり期限が設けられていたりするため、多くの人々がその対象から漏れ、自身とその国の繋がりを証明できないまま無国籍になってしまいます。一度無国籍になると、国籍が血統に基づいて決定されることが多いため、子ども等の次の世代でも無国籍が引き継がれていく場合が多いです。また独立後しばらくしてから、一部の人々を除外する政策を導入した国もあり、政府が民族、言語、宗教等を理由に国籍を証明する書類の発行を拒否した例もあります。

・国籍を失った場合や、何らかの原因ではく奪された場合:
国によっては、長期間国外に住んでいただけで国籍を失う場合や、国が特定の民族や人種を排除するような差別的な法改定を行うことで、国籍が突然はく奪される場合もあります。


UNHCRは、無国籍問題に対し各国が適切な国籍法や政策を定めるよう、呼び掛けています。2014年11月には、今後 10 年間で無国籍をゼロにする「#IBelong 」キャンペーンも開始しています。
 

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