国連難民高等弁務官、ギリシャの島における庇護希望者の状況に対応を要請
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官はレスボス島モリア・センターの状況を証言し、ヨーロッパ各国に、ギリシャの対応を支援するよう訴えました
公開日 : 2019-12-23
イブラハム・モハメドと家族は、今年の初頭、爆撃によって彼の家が破壊された時、シリアを逃れました。彼らは安全を求めてヨーロッパにたどり着きましたが、今はギリシャのレスボス島にある混み合ったモリアの受付/身元確認センターの外で暮らしています。
レスボス島(ギリシャ)、2019年11月28日 ― 1つ耐え難い状況があると、他にも耐えがたい状況が見つかります。
「ここの状況を見てください。これが人間の暮らしでしょうか?」と11月27日、イブラヒム(49歳)は語りました。彼が自分と近親者のために木とビニールシートで建てたシェルターで、彼は訴えました。
“オリーブの森”と地元で言われている過密した仮設キャンプで暮らすイブラヒムの近隣者の多くは、同じように感じていました。冬が近づき、事態はさらに悪化します。
脆いテント、木の貧しい寝床、ビニールシートでは、この週の強風と雨には太刀打ちできませんでした。汚れた水が道を滑りやすし、住居に漏れ、毛布や衣料にカビが生えました。
さらに悪いことに、この非衛生的なキャンプにいる何千もの男性、女性、子どもたちには、プライバシーと安全が欠如しています。電力とお湯はわずかで、人々への医療サービスが十分に行き届いていません。暴力や社会不安による事件も繰り返し発生しています。
この状況は受け入れがたいです、この場所に訪問中の11月27日、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は述べました。
「ここレスボス島で私たちが目にしていることを、非常に懸念しています」グランディ弁務官はこの状況を警告してヨーロッパ各国にギリシャを支援するよう求め、数千の庇護希望者がより良い宿泊施設に移動できるよう緊急要請しました。
「ここレスボス島で私たちが目にしていることを、非常に懸念しています」と、3日間のギリシャ訪問中にこの島に滞在したグランディ弁務官は述べました。「ヨーロッパにいる私たちは、このような恐ろしい状況で苦難の生活を送る人々がいることを容認できません。」
グランディ弁務官が最後にこの地を訪問した2016年以来、主に人口の過密によって、モリアの状況は著しく悪化しています。5,400人を収容するために設計されたエーゲ海の島々にある5か所の受付センターで、現在約3万人の庇護希望者が暮らしています。
(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)
この背景に対して、グランディ弁務官は、2万人を本土のより良い場所へ移送する公約を含むギリシャ政府による、状況を改善するための法案を歓迎しました。
「より良い宿泊施設、本土への移送、法的身分やこれらの人々の将来への決定プロセスの迅速化といった、この状況における重要な側面にギリシャ政府が焦点を当てていることに、私たちは勇気づけられています。」
また、グランディ弁務官は、庇護希望者を受け入れ、対応しているギリシャの人々も称賛しました。ギリシャは今年、イタリア、スペイン、マルタ、キプロスの総計数よりも多くの庇護希望者を受け入れました。その多くは、アフガニスタン、シリア、イラクから逃れた家族です。
「団結力、共感が必要です。そして、ギリシャが驚くべき寛容性と寛大さで行なっていることはもっと広く共有されなければならない、という理解が必要です」とグランディ弁務官は語ります。「私たちは皆、ギリシャと共に立ち上がる必要があるのです。」
さらに、グランディ弁務官は近隣のカラテペ受付センターの職員とパートナー団体も訪問。家庭内暴力や性暴力に関心を持つ女性たちと話をしました。ミティリニ市とUNHCRによって運営されているカラテペには現在、弱い立場に置かれた人々を中心に1,300人の庇護希望者が暮らしています。
「保護者とはぐれた未成年者に対する解決策が必要です」グランディ弁務官は、シリアから来た未亡人のイブティサムと、特別な医療ケアを必要とする彼女の子どもたちも会いました。家を爆撃されて夫と姉(妹)を含む5人の家族を失った後、イブティサムの家族はトルコを経由してギリシャに逃れました。
ミティリニにある教育センターの教室を訪れたグランディ弁務官は、幼い庇護希望者と難民の苦難への想いを口にしました。グランディ弁務官は、保護者とはぐれたギリシャにいる未成年者5,000人を支援するよう、ヨーロッパに要請しました。5,000人のうち1,000人は、レスボス島にいます。
「保護者とはぐれた未成年者には、安全な避難所、教育、将来の展望といった解決策が必要です」とグランディ弁務官は述べました。
アテネのコスタス・バコヤンニ市長が主催した会合で、グランディ弁務官は、難民に門戸を開いた市町村長のグループと共有する、統合と責任分担という主要課題を強調しました。
11月28日、グランディ弁務官は続けてギリシャ議会の2つの委員会を訪問し、外交団や他の国連団体、人道支援に関わる市民社会の代表等と会談しました。
Josie Le Blond
原文はこちら(英文)
UNHCR chief urges action over conditions for asylum-seekers on Greek island
こうしている今も、地中海を渡り危険な旅を強いられている難民がいます
※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。