アフリカ、サヘル地域での攻撃増加により時間切れとなる民間人
公開日 : 2020-06-15
武装グループによる攻撃、そしてそれに対抗する治安作戦によって、さらに多くの人々が安全を求めて家を追われ、主に以前の暴力から逃れて来た親戚などの避難民への対処ですでにひどい苦境に陥っている受入コミュニティーへの圧迫も大きくなっています。
6月5日、マリ中部の情勢不安なモプティ地域にあるビネダマ村への直近の攻撃では、26人の民間人が殺害されました。
また、武装グループはニジェール西部のインティカンにある難民受入地域を標的とし、5月31日、難民のリーダー2人と地元コミュニティーのリーダー1人を殺害しました。これにより、UNHCRとパートナー団体が約1,180張の緊急避難テントを早急に供給する援助をしているテレマキス周辺のさらに内陸へと、1万人以上が避難を強いられています。それでも、そこでの生活条件は“嘆かわしく”、水と保健が大きな問題です。
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「国境の町や地域の生活を破壊するサヘルの民間人へ繰り返される攻撃は、底知れず、また理解を超えています。人々は度重なる避難を強いられ、私たちの援助をどうしても必要としています。厳しい時ですが、私たちは援助を届けられるよう、最善を尽くしています」と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックと、この対応に伴う限界に言及しつつ、ミリセント・ムトゥリUNHCRアフリカ西中央部事務所長は語りました。
難民は、ブルキナファソ、マリ、ニジェールの3つの国の国境をまたぐリプタコ・ゴーマにいて、やはり暴力と貧困に苦しめられている地域で安全を求めています。
この事態に対応して、UNHCRは2万5,000軒以上の家族にシェルター支援を提供しています。また、2020年6月末日までに1万6,500家族への救援物資配給を目指しています。しかし、人道支援活動、悪化する政情不安、新型コロナウイルスの影響、適切なリソースの不足により大きく妨げられています。
2011年マリ北部での内戦ぼっ発以来、紛争はマリ中部、ニジェール、ブルキナファソにも拡大しました。
現在、世界で最も急速に人の移動が増えている避難の危機の1つであり、即決処刑、女性への性暴力の拡大、学校や医療施設のよう公的施設への攻撃といった武装グループによる民間人への無差別攻撃で、数百万もの人々が避難しています。
特にブルキナファソでは、2月上旬に56万人だった国内避難民の数は4月末には84万8,000人に急増しました。約3か月で28万8,000人が新たに避難したことになります。
「サヘル中部における人道的状況は非常に悪化しています。避難した家族は過密した避難所で生活し、基本的サービスの利用は限られています。可能なリソースよりも早く拡大する新たなニーズに直面する中、対応を拡大するため、私たちは時間と闘っています」とムトゥリは付け加えました。
この地域での甚大なニーズに光を当て、この深刻化する危機への対応を継続するため、この金曜6月12日に、UNHCRはサヘル危機アピールを開始します。
UNHCRスタッフは、パートナー団体やこの地域の当局と協力し、窮地にある人々を援助しています。しかし、悪化する政情不安と新形コロナウイルス対応のため、ブルキナファソ、ニジェール、マリの遠方地域で支援を必要としているすべての人々に手を差し伸べるのは困難を極めています。
この3つの国は社会的なインフラが脆弱で、難民や避難民へのシェルター、食糧、保健、水の配給が今も最優先です。多くの人々が着の身着のままで到着し、ホストコミュニティーに受け入れられています。彼らの寛大な対応にも関わらず、これ以上はほぼ無理な段階にまで達してしまい、生き延びるには支援が必要です。
ブルキナファソ、マリ、ニジェール 砂漠化するサヘル地域の難民危機
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