性暴力から逃れた難民がルワンダで救われる
リビアの収容所から救助されルワンダへと避難した、恐ろしい拷問とレイプの被害を受けた生存者たちは、立ち直るための必要な援助を受けています
公開日 : 2020-09-04
そよ風がサムラウィットの顔を覆うショールを波立たせ、彼女は遠くを見つめています。ルワンダ東部のミライ湖から突風が吹くと、彼女は強く身体を丸めます。
ガスホーラ(ルワンダ)2020年7月29日 ― この20歳のエリトリア難民の今の状況は、彼女が耐えた悪夢とはかけ離れ平和で落ち着いていますが、彼女はリビアで密航業者の手に捕らわれ拘束され、約2年にわたって拷問や殴打、レイプされました。
「リビアで経験したことの記憶と、向き合うことができません」と、彼女はささやくように言います。「自分が経験したことのせいで、時々すごくストレスを感じます。」
サムラウィットは昨年10月に、リビアにいた他の123人の難民と一緒にルワンダに避難しました。主にエリトリア人、ソマリア人、スーダン人約258人の庇護申請者が、首都キガリから約55キロ離れたガスホーラ一時庇護センターに受け入れられています。

サムラウィットは、命の危険を感じ軍の徴兵から逃れた親戚が去った後に、エリトリアを去りました。国内に家族も残っていないので彼女は恐怖を感じ、そして強制徴兵の可能性にも直面したため、逃げることを決めました。安全を求めた中で、彼女は人身売買業者に拉致され、リビアとの国境付近にあるスーダンの街へと連れて行かれました。
「最初、彼らに強制的に連れて行かれ、そして私たちはレイプされました。」と、ささやくように泣きながら彼女は話します。「彼らはナイフで脅してきたんです。どうしたらよかったと言うんでしょう?」
サムラウィットはリビア南東部にあるクフラの人身売買業者のキャンプで2か月間捕われ、当初は自由になるためには6,000ドル払えと要求されました。彼女は様々なグループの人身売買業者や密航業者に売買され、最終的には北西部にあるバニ・ワリドでさらに8か月間捕われていました。
捕われた人々がそこで直面した恐ろしい環境を思い出し、彼女の目に涙が溢れます。
「彼らはとてもひどいことをしたんです」
「とても人が多く密集していたので、横向きで寝なければいけませんでした。」と、彼女は言います。「彼らは1日に1度、十分に加熱調理されてないマカロニを1皿だけ私たちに与えました。私たちはいつも空腹でした。」
十分な水もなく、トイレは劣悪だったと彼女は付け加えます。
「生理期間中は洗うこともできず、特に女性にとってはとても汚くて劣悪でした。」
彼女は人身売買業者からお金を要求され、暴行や拷問を受けたと付け加えます。
(動画の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)
「彼らはとてもひどいことをしたんです。ゴム管で私たちを殴り、屋外や車の下で女性をレイプしました」と、彼女は話します。
サムラウィットは男性の捕虜たちが拷問された様子を思い出しながら、自身の手を固く握りしめます。
「彼らはプラスチックを溶かして捕虜たちの手を火傷させ、時には捕虜たちを縛り付けて水中に彼らの頭を押し込めていました。」
UNHCRとデンマーク難民評議会の移民センターから発表された「この旅路では、あなたが死のうが生きようが誰も気にしない」というタイトルの報告書では、毎年何百人もの難民と移民が、東西アフリカからエジプト・リビア方面を通過する過酷な旅路の途中で亡くなっていることを詳細に報告しています。
さらに数千人が、人身売買業者や密航業者、民兵や一部の州当局の手による殺人や拷問、強要や性暴力、強制労働などのひどい人権侵害に耐えています。
UNHCRと移民センターは報告書の勧告リストで、ルート上の虐待から生き延びた人々を特定・保護し、虐待行為を行った加害者に刑事訴追や制裁を含む説明責任を負わせるため、各国政府にもっと多くのことをするべきだと呼びかけています。
サムラウィットは親戚に連絡を取ることを強要され、親戚が彼女の兄に連絡しました。彼らは共に、彼女の解放とヨーロッパ行きの船の席を確保するために、合計で1万2,000ドルをかき集めました。
彼女は話すたびに、ぼんやりと自身の手首のカラフルなブレスレットを引っ張ります。
「これ、リビアの友達からもらったんです。彼が私のために作ってくれたんです」と、彼女はその友人がまだ拘置所に残っていることを付け加え、話します。「あそこがどんなにひどいところか知っているので、彼のことが本当に心配です。」
彼女は去年の7月に、人身売買業者がついにヨーロッパを横断させるため収容所にいた人々のうち350人を、地中海湾岸に連れて行った様子を鮮明に語りました。
「私たちは深夜に出発し、数時間でボートは沈み始めました」と、彼女は話します。
事故で約150人が亡くなり、近年では最悪な沈没事故の一つとなりました。生存者のうち、女性はサムラウィットを含むたった4名だけでした。
「幸運なことに私は泳ぐことができましたが、そのおかげで生き残れたとはとても言えません。神様が助けてくれたのです」と、約8時間以上泳ぎリビアの海岸に戻ったことを付け加え、彼女は話します。
彼らはそこでリビア当局に発見され、最終的にUNHCRがアクセスできる公式の難民収容施設に受け入れられました。
彼らは疲れ、怯え、汚く空腹で、UNHCRから登録されてから応急手当を受けました。そして最も脆弱な者を特定するための、評価プロセスを受けました。利用できる避難所や再定住先の数が限られているため、同伴者のいない子どもや、拷問・その他虐待の生存者で緊急の治療を必要とされる人々を含む最も脆弱な人々を優先するよう、通常取り組んでいます。
「私たちは彼らのニーズを特定し、カウンセリングのためソーシャルワーカーに紹介します」
サムラウィットはその中でも非常に脆弱であると判断されて、ルワンダへと移送されました。そこで、UNHCRとパートナー団体は、食料や、水、医療や心理社会的支援や住居を含む救命支援を行っています。
UNHCRのパートナーであるアメリカ難民委員会の教育・生計コーディネーターのマルガレッタ・マホロはこの支援が重要である理由を説明します。

安全を求めていたところで、サムラウィットは人身売買業者に拉致され、複数回にわたって拷問やレイプされた。家族は、彼女を解放するために身代金を強制的に払わされた
「私たちは彼らのニーズを特定し、カウンセリングのためにソーシャルワーカーに紹介します」と、彼女は説明します。「特別な治療が必要な場合は、精神科医を含む医師に紹介します。」
避難者は自身の状況を評価され解決策を見出すために、ルワンダで庇護申請者の在留資格を与えられました。
2018年12月以来、UNHCRは2,000人近くの難民と庇護申請者をリビアから避難させています。うち2,500人の難民と移民は、公式の難民収容施設の中でも非常に脆弱な状態のままでいます。
ルワンダに到着してから、サムラウィットは兄と2回話をして自分の安全を伝えました。
「妊娠したり性病をもらったりしなかったので、安心しました」と彼女は長く苦しい体験について語ります。「今は大きく違います。まるで天国と地獄のような違いです。」
彼女は兄と合流したいと希望している一方で、治療に専念し、英語教室に通ったり裁縫コースを取ることも考えています。
「すでに起こってしまった悪いことを思い出したり心配したりするよりも、他のことで頭をいっぱいにしたいんです」と彼女は言います。
サムラウィットは、UNHCRの特に脆弱な難民のための第三国定住プログラムを通じてスウェーデンに定住しました。
*個人情報保護のため名前を変えています。
Catherine Wachiaya
原文はこちら(英文)
Refugee survivors of sexual abuse find help in Rwanda
IF もし、明日、故郷を追われたら
※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。