UNHCRの現金給付がイランで何千人もの難民に生活手段を提供
公開日 : 2020-11-04
これは、ジュネーブのパレ・デ・ナシオンで行われた当日の記者会見で、UNHCRのババル・バロック報道官が述べたことを要約したものです
2020年10月13日 ― UNHCRは、イラン・イスラム共和国において継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって深刻な影響を受けている何千人もの特に脆弱な難民を支援するために、現金給付を強化してきました。しかし、増加する困難や欠乏に直面しているより多くの難民を支援するためには、さらなる資金が必要です。
イランは、100万人近い難民を受けて入れており、そのほとんどが、アフガニスタンで40年続いている紛争から逃れて安全を求めてきたアフガニスタン人です。そして、彼らはイラン人と隣り合って暮らしています。
イランの経済は、過去2年間既に実質的な緊張下にありましたが、新型コロナウイルス感染症によって一層経済状況が悪化しました。政府の統計によると、たった1年の間に、油や米、卵などの基本的食品の価格が約21%上昇し、交通機関の運賃は約50%高騰しました。
世界の他の地域と同じように、多くの人々が仕事も失いました。通常、不確かで不安定な仕事に収入を頼っている難民は、特に厳しい打撃を受けています。UNHCRは、全ての難民世帯のうち約3分の1の主な稼ぎ手が失業していると推定しています。既に生計を立てることに苦労してきた多くの難民は、自力で生活することにますます困難を感じています。
UNHCRは、イラン政府のカウンターパートであるイラン外務省の外国人及び移民局と共に、パンデミックの初期から2万人以上の難民を支援してきました。このうち約9,000人が、最近プリペイドカードを通じた現金給付スキームの恩恵を受けました。これらの難民は、深刻な健康問題に苦しんでおり、緊急の支援を必要としています。各個人は、最大3か月の間基本的出費を賄うことができる約300米ドル(一括払い)を受け取ります。
難民は、国民と比べて不相応な形で新型コロナウイルス感染症の影響を受けているわけではありませんが、彼らの生活に及ぼすパンデミックによる経済的影響は、特に深刻になってきています。失業による難民の生活への影響は増大しています。子どもを退学させて仕事に送り出さなければならないとか、借金をするか1日に食べる食事の回数を減らさなくてはならないと報告した難民もいます。ここ数か月の間にUNHCRに支援を求めてきた全ての難民のうちおよそ3分の2が、経済的支援が必要であると報告しました。家族に十分な食事を与えることができないと答えた人がほとんどで、家賃を払う手助けを求めたり、治療を求める人もいました。
難民は新型コロナウイルス感染症を前にしても、信じられないほどの対応力を示していますが、UNHCRは、彼らが一層の支援を受けなければ、より多くの難民が負の対処メカニズムに頼るかもしれないと心配しています。
イラン政府は、無料の検査や治療、入院加療の提供を含む国家の新型コロナウイルス感染症対策に難民も含める手厚い対策を取っていますが、UNHCRが難民を保護しホストコミュニティを支援することによってイランをさらに支えていくためには、国際社会からのより多くの支援が緊急に求められています。
UNHCRとイラン政府は、生計を立てることに苦労しているより多くの難民を支援するための対策を模索しています。UNHCRは、難民とホストコミュニティの支援を続けるために必要な9,990万米ドルのうち、今年になって現在まで36%しか資金を得ることができていません。
このような先例のない世界規模の挑戦に直面し、国際社会は責任分担の精神に基づき、人道上の努力によってイランを支援するために共同することが重要です。
現金の給付支援 そこから難民の暮らしが見えてくる
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