障がいのある難民が取りこぼされることのないように
~ 現地からのThank you report
公開日 : 2021-03-03
障がいのある難民が 取りこぼされることのないように
世界の難民の約15%には障がいがあります。
彼らが支援やコミュニティの輪から取りこぼされることのないように、個々のニーズを聞き取り、寄り添い、包括的な支援を届けています。障がい者を含む最も弱い立場にある人々に情報やサービスを提供するコミュニティセンターを拡充していくこともその一つ。例えばシリアでは、74あるコミュニティセンターを120に増やす予定です。それにより240万人にサービスを提供できるようになります。皆様からのご寄付は、そうした障がいのある難民を対象とした支援にも活用されています。感謝の気持ちを込めて、ハンディを乗り越えて力強く生きる難民の表情をお伝えします。
※ご支援で可能になっているUNHCRの援助活動の一例としてご紹介いたします
現地からのThank You レポート
「車椅子が私の人生を変えました。
写真を学び、その写真が認められたのです」
バウクは5歳で足が不自由になり、移動する時には家族に背負ってもらわなくてはなりませんでした。でも、UNHCRが支給した車椅子によって、彼女の世界は広がりました。2011年にカチン州で軍と民兵の戦いが勃発し、それ以来バウクは国内避難民の居住地に住んでいます。2017年、UNHCRとプロのカメラマンが共催する障がい者向けの写真撮影講座が居住地で始まりました。講座の目的は、写真というストーリーを通して障がい者が自分の声を発信する力をつけることです。この講座を受講したバウクは、車椅子によって人生が変わったストーリーを伝えました。その写真が、2019年のヤンゴン写真フェスティバルで新人賞の第3位に選ばれたのです。
「いつか生まれ故郷に帰りたい」
生まれつき足の不自由なヤシンは、シリアのダマスカス近郊から逃れてきた国内避難民。妻や子ども達と一緒に「世界難民の日」と「父の日」を祝うイベントに参加し、「いつか、自分の故郷に帰りたい」と笑顔で語ってくれました。
「明日来られますか?と面接で聞かれて嬉しかった」
耳の不自由なベネズエラ難民のカエサルは、障がいのある人を積極的に雇用するファーストフード店で働いています。UNHCRは障がいの有無に関わらず、受け入れ国における雇用促進を難民・避難民保護の柱の一つとしています。
「稼いだお金はほんの少しだけ使い、残りは貯めました」
南スーダン難民のホタは、骨の病気で腰が曲がったまま。得意の裁縫を生かして仕事を得た彼女は、資金を貯めてミシンを買い、自分で仕立屋を始めました。その後UNHCRのパートナー団体から1000米ドル(10万8000円相当)の融資を受け、さらに事業を広げています。
「勉強して医者になりたいから、もう授業は一つも休めないんだ」
イエメン南西部のタイズから逃れてきたサラーは、地雷で片手と片足を失いました。義足を作ってもらってからは2時間かけて学校に通い、勉強に励んでいます。イエメンでは、障がいのある子どもたちが良い環境でリハビリや教育を受けることができるよう、キャンプ内のリハビリテーションセンターと幼児教育センターで支援を行っています。
物資の不足する難民キャンプでは、障がい者がコミュニティから排除されてしまったり、支援が届きにくかったりすることもあります。障がいのある難民も分け隔てなく守られ、生活や教育の機会を得られるようにするためには、まだまだ課題が多いのが現状です。どのような障がいがあっても、難民一人一人が希望を失わずに可能性を見出すことができるよう、引き続き皆様からの温かいご支援をお願いいたします。
皆様からの温かいご支援、ありがとうございました。
※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。