6月20日「世界難民の日」に日本初公開 2022 世界難民の日 詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの」

もしあなたが突然「難民」になったとしたら・・・。突如あなたの身に降りかかる紛争や迫害。そんな時あなたなら、一体何を持って逃げますか?

公開日 : 2022-06-20

国連UNHCR協会は、長年の支援企業であるQ-pot.(株式会社グラム)ならびにKAIJU INC. (株式会社カイジュウ)、Queens Company (株式会社クイーンズカンパニー)とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の協力のもと、詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)」を制作しました。6月20日(月)「世界難民の日」に合わせ国連UNHCR協会 公式YouTubeチャンネルにて日本初公開となります。

動画公開媒体:国連UNHCR協会 公式YouTubeチャンネル


リスト:彼らが手にしていたもの

原作 / ジェニファー・トクスヴィグ(Jenifer Toksvig)  翻訳 / 松崎悠希

財布(空っぽ)、財布、財布、お金、硬貨、小銭。
懐中電灯、笛、レーザーポインター - 海の上では遠くからでも見える。
バッグ3つ、バッグ1つ、リュックサック、旅行かばん。
書類を入れる黄色いビニール袋、濡れないようにテープで目張りする。
難民用の黄色いカード、
身分証明証。
軍役記録、受け入れ国の政府から渡された小冊子、
卒業証明書:電子工学科。高校の卒業証書。
パスポート、もし持っていれば。
国外脱出用の高価なチケット:偽物。
旗、旗、国旗。
フラッシュドライブ、ノートパソコン、電話。
携帯、電話番号、電話番号、電話番号。
SIMカード、予備のも。電話、電話、
SkypeとFacetimeが入ったスマホ、ヘッドフォン、
充電器、充電器、海外用変換アダプター。
家の鍵。
家の鍵。家の鍵。
ノートとペン。
本当に辛い思いをした。
勉強して社会の一員として認められたい。

痛み止め、痛み止め、船酔い止め。
杖、杖、白い杖、松葉杖。
車いす。もしもの時の注射器。
包帯、包帯、洗面用具、歯磨き粉。
歯ブラシと歯磨き粉、爪切り、櫛。
シャンプーとヘアジェル、髭剃り、
サンオイル、日焼け後のローション
息子のてんかんの薬:1日1錠。
赤ちゃんの予防接種記録、
それから美白クリーム。
肌を白くして
清潔感のある髪型にしたい。
難民だって気付かれたくない。
だって不法滞在だって思われて
警察に通報されたら?
でも肌が白ければ大丈夫。
そうでしょう?ちがいます?
民族衣装、
あったかい服、
赤ちゃんの服、
気に入ってる服、
汚れた服、
濡れた服、
重ね着した服、
パンツ、ズボン、パンツ。
ミシン:これは私のすべて、私の血潮。
着替え4着、着替え1着。
一度パーティーに着てった花柄のデニム。
また着ていける日まで取っておくの。
シャツ、シャツ、片方だけのサンダル。
靴、靴、新品:一度も履いてない。
ヒジャブ、友達からのプレゼント。
気に入ってるスカーフ、ドクロの柄:この色が好き。
ターバン。私の守り神。私の存在と私の信仰心を護ってくれる。
これが無かったら、私は私を見失う。
ヘッドスカーフ、紛争で死んだ誰かの。
赤ちゃんの帽子、
それから赤ちゃんの靴下。
おむつは1つ。1つだけ。
それと生理用品。
凍えないためのジャージの上着、救命胴衣を着ている人もいる。
着てない人も。
難民の何が一番辛いかって
ある日起きたら、もう自由は失われていて
自分の生き方を自分で決められなくなる、ということだ。
すべての道が閉ざされ、
ただ目の前に広がる海。
ただ目の前に広がる海だけが
私を解き放ってくれる。

タバコ:カートン、箱、ライター。
素焼きのパイプ、ジンセン、手持ちタンク、ミルク。
キレイな水、ボトルの水、水、水、どこもかしこも海の水。
1週間で水は500mlだけ。
サラダ油、レモン、レモン、ドライフルーツ、ドライフルーツ、ドライフルーツ、ドライフルーツ。
ビスケット、クラッカー、クラッカー、クラッカー、コンビーフの缶詰。
紅茶セットは乗り合わせた皆さんのため:みんな喉が渇き、へとへとで、怯えてる。
お茶にしましょう:新しい家族が生まれる。
ベビーフード、マシュマロ、焼きかけのパン。あいつら最後まで焼かせてくれなかった。
子ども達に夕飯を作ってあげるためのお鍋。
この男はコップしか持ってない。

これがなかったら毎日水を飲むため
コップを使わせてくれって頭を下げなきゃならなくて
情けない思いをするところだった
誰だって頼まれ続けるのは嫌だから
そのうち使わせてもらえなくなる。
でも私にはこのコップがある。
これで自分の力で生きていける、たとえどこへ行っても。
化繊のカーペット、敷物、敷物、枕。
革製のテント。
自宅の壁の欠片。
自宅の庭から持ってきた土、布にくるんで。
聖なる土、聖なる本、聖なる御言葉(みことば)。
ロザリオとお祈り用の数珠、ロザリオ、数珠、ロザリオ。
嫁入り道具の箱の鍵は、
この頭飾りに隠してる。
指輪、指輪、お守り、指輪、お母さんの結婚指輪。
私のは爆撃で無くなったから、お母さんが自分のをくれた。
イヤリング。アクセサリーを作る。私自身を表すアクセサリーを。
自由の象徴。好きな物を身に着ける。
ハートのネックレス、ハートのネックレス、マリア様のネックレス。
ブレスレット、ブレスレット、ブレスレット。
ううん、ブレスレットじゃないよ。
一番好きなのはナンシー。お人形さん。
逃げた日の夜、お母さんは、忘れないでって
枕元に置いてくれた。
だけど大急ぎだったから、置いてかれちゃった。
でも大丈夫。お留守番してくれてる。

時計、デジタル、アナログ。
時間を守るのは大切なこと。
物事が上手く運ぶ。みんなが長の私を慕ってくれている。私が手にしているのは
斧、斧、ナイフ、斧、包丁、ヤギ。
このヤギは希望と喜びを与えてくれるし
暮らしやすくなる予感がするんだ。
ペットの猿のカコちゃん。ロバ、ロバ、ロバ。
ロバに命を救われた。
おかげでうちは砂漠を越えられた。
十日間もの間
ずっと砂漠だ。
もちろんロバは一緒さ。
家族の一員だからね。
家族写真。
写真、写真、父の写真。
父の思い出。
私はなんにも持って行けなかった。
混乱の中 全てが壊された。
ほんの10分で脱出した。
寝たきりの私は、家が壊されるのを見ているしかなかった。
近くの人が私の叫びを聞き
駆けつけて担ぎ出してくれた。
私は二人の子どもを、
一人ずつカゴに入れて、棒に吊るして担いだ。
私は貞潔(ていけつ)を守った。
海の上、海賊たちが触れてこないように、吐いたゲロを身体になりすつけた
私は逃げ切った。
子ども達と。
姉妹と。
兄弟と。
夫と。
妻と。
私の心と、
微笑みと、
命と、共に。
〈終〉

現在の難民情勢

「誰ひとり、置き去りにしない」


2022年5月、紛争・暴力・人権侵害・迫害により故郷を追われた人の数が、史上初めて1億人を超えたことが、UNHCRによって発表されました。この驚くべき数は、ウクライナ、その他の地域で起こっている残酷な紛争の影響によるものであり、その数は今現在もなお増え続けています。
https://www.unhcr.org/jp/47371-pr-220523.html

制作の背景と作品に込められた思い

「難民をより身近に感じ、より深く理解し、そしてより多くの支援に繋げていきたい」

Q-pot.(株式会社グラム)は、難民・避難民を国際的に保護・支援し、難民問題の解決に対して働きかけているUNHCRと、その日本の公式支援窓口である国連UNHCR協会の活動理念に賛同し、「楽しい気持ちや笑顔の連鎖を世界中に拡げたい」とのブランドコンセプトのもと、長年に渡りドネーション活動に積極的に取り組んできました。

 

今回は、Q-pot.の思いに、本プロジェクトのパートナーとして、映画やドラマ・CMなど国内外の作品を中心としたキャスティング業務及び映像コンテンツ制作も手掛ける株式会社カイジュウ、そして、アーティストや役者・タレントなどの育成と、音楽・映画・舞台・メディアなどの製作及びキャスティング事業を行う株式会社Queens Companyが賛同してくれました。また、多岐に渡るジャンルの映像作品を手掛け、今最も注目を集めている関根光才監督に演出を担当して頂きました。

 

今回のプロジェクトの目的は、日本国内における「難民」の認知度と理解度を高め、一人でも多くの方に「難民」というキーワードに触れていただくこと。そして、何かしらのアクションを起こすきっかけを作ることができればと、純粋な気持ちから2022年1月に制作を決めました。奇しくも、翌月2月にウクライナ危機が始まり、複雑な心境の中で、さらに制作への思いが膨らみました。

 

日本では、「カフェ難民」のように造語として現代の社会に存在する「難民」という言葉ですが、私たちは、皆様に今まさに世界で起きている「難民」の実情を受け止めて頂き、言葉の真の意味を知ってほしいのです。

 

パートナー企業・スタッフ・キャストの方々、そして、UNHCR並びに国連UNHCR協会のそんな思いが結集し、日本語版として新たに生まれ変わった詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)」が、日本中の人々の心に届くことを、関係者一同、心より願っています。

 

教育機関における広がり

この詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの」に触発された学校や生徒のみなさんによる独自の再現によって、共感と支援の輪を創る取り組みが広がっています。

国連UNHCR協会は、この詩の朗読フィルムを通じて世界で故郷を追われた一人ひとりを身近に感じていただくため、教育機関・企業・団体・個人にこのような取り組みを広げてまいります。詳細は後日公開いたします。

淑徳中学校の生徒による詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの」

 

 

 

詩の朗読フィルム「リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)」とは?

迫りくる命の危険の中、わずか10分たらずという時間の中で持ち出したものとは?彼らのリストを通じて、一人ひとりのストーリーが見えてきます。言葉の持つ力や、言葉の奥に込められた難民の思いを汲み取りながら、原題「What They Took With Them: a List」の原作者であるジェニファー・トクスヴィグと共に、原作に込められた意図を理解し、一言一句丁寧に、長い時間をかけて翻訳作業を行い、日本語版の詩が完成しました。原作の持つ世界観を壊さぬよう、テンポやリズム、間を大切にしながら、収録された緊迫感のある映像は、きっと観る人の心を突き動かすはずです。

※原作「What They Took With Them: a List」は原作者のジェニファー・トクスヴィグ(Jenifer Toksvig)が2015年に、故郷を追われた難民たちの物語や生の証言、彼らが持っていったものに触発されて書いたもの。この詩は写真家のブライアン・ソコル(Brian Sokol)がUNHCRと共同で行った写真プロジェクト「The Most Important Thing」が情報源の一つとなっており、UNHCR親善大使であるケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)やその支援者がこの詩を披露した2016年の詩の朗読フィルム(英語)には、ブライアンの写真が多数登場しています。  

 

■作品情報:

・タイトル:「リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)」
・原作:ジェニファー・トクスヴィグ(Jenifer Toksvig)
・訳:松崎悠希
・監督:関根光才(https://www.kosai.info/profile/
・制作:KAIJU INC./KAIJU FILMS
・プロデューサー:岩上紘一郎、髙野力哉、ワカマツ タダアキ、若菜蓮
・エグゼクティブ・プロデューサー:大岩良江、江守徹
・キャスト:カトウシンスケ/Crystal Kay/坂巻有紗/サヘル・ローズ/鈴木亮平/TAO/May J./米本学仁/渡部豪太/渡辺真起子(※五十音順)
・特設サイトリンク:https://www.Q-pot.jp/world_refugee_day/
・動画公開媒体:国連UNHCR協会 公式YouTubeチャンネル
https://youtu.be/aY16LULeT4U
・パートナー:UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
・協力:UNHCR駐日事務所

■ ©2022 世界難民の日 パートナーズ:

・KAIJU INC. / 株式会社カイジュウ
海外案件を中心に、映画、ドラマ、CMなど、幅広いジャンルのキャスティングを担っている。所属やフリーランスを問わず、ひとりでも多くのアーティストにチャンスを提供し、世界で評価される日本人を輩出することを使命とする。同時に新たなコンテンツ作りに注力し、世界を唸らせるクリエイティブな作品・映像制作を目指している。
http://kaijuinc.jp/

・Queens Company / 株式会社クイーンズカンパニー
アーティストや役者、 タレントなどの育成と音楽、映画、舞台、メディアなどの製作、各種キャスティング事業を通じ多彩な業務を提供し続けている。
https://queenscompany.co.jp/web/

・Q-pot. / 株式会社グラム
「楽しい気持ちや笑顔の連鎖を世界中に拡げたい」とのブランドコンセプトのもと、人と人とをつなぐ、コミュニケーションツールとしてのアクセサリーを創り続けている。Q-pot.のアクセサリーをモチーフにした本物のスイーツが食べられるカフェ・Q-pot CAFE.も運営。2022年でブランド設立20周年を迎える。
https://www.Q-pot.jp

・特定非営利活動法人 国連UNHCR協会

国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える日本の公式支援窓口として、日本国内で広報・募金活動を行う認定NPO法人である。

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