大地震ですべてを -再び- 失ったシリアの被災者に届けられる、命を守る支援

UNHCRはこの天災で家を失った家族に援助を提供。シリア北西部への支援ルートの再開は、同国の12年にわたる危機ですでに避難していた人々に希望を与えています

公開日 : 2023-02-13

アレッポの歴史的な旧市街にある屋根付きの市場では、家族連れが小さな小売店の中に詰めかけ、暖を取るために身を寄せ合い、何枚もの衣服や保湿性に覆われて座っています。シリア北部の凍てつくような冬の寒さをしのぐ、唯一の防寒具なのです。

アレッポ(シリア)2023年2月10日 ― 2月6日、トルコ南部とシリア北部を襲った大地震の後、彼らはこの地にたどり着きました。これまでに両国で数万人の命が奪われ、瓦礫の下で行方不明になっている人の数は未だ不明です。

アレッポのアルハリール広場に急遽設置された集合避難所で暮らす家族は、地震で損傷または破壊された家に戻ることはできない、あるいは怖くて他に行くところがないためにここにいるのです。

家族が滞在するアルハリール・スークの小売店の前でUNHCRスタッフと面会する、アレッポに住む4人の父親で地震により自宅が被害を受けたマゼンさん(中央)

シリアの長期的な危機の中でアレッポのサラハディン地区にある自宅から数年間避難していた4人の父親であるマゼンさんは、6日未明に地震が発生した時、自分と家族が死ぬと思ったと語りました。

「あの時、寝ていました。何かが揺れたのです。妻が“地震、地震”と言うのを聞きました」と彼は言いました。「何かあったら私が犠牲となって我が子を救うのだと、立ち上がり、子どもに覆いかぶさりました。」

「1~2分後に止まって、私は“よかった、私たちは無事だ”と言いました。(しかし)1分後くらいにまた始まりました。あの2回目はとても怖かったです。道路に出て、その後家には戻りませんでした」とマゼンさんは付け加えました。

グレーのバスローブを重ね着し、毛糸の帽子にスカーフを巻いて暖をとっているマゼンさんは、地震で4階建てアパートの壁に深い亀裂が入り、家に帰っても安全とは感じられない、と語りました。

近くのスレイマン・アルハラビ地区では、さらに数十家族がモスク内で避難しています。赤い絨毯の床に大人たちが静かに座り、その周りを小さな子どもたちが走り回って遊んでいます。ほとんどの人が着の身着のままで、避難の際にすべてを置いてきてしまったのです。

2月8日、UNHCRとそのパートナー団体であるシリア・アラブ赤新月社のチームは、モスクに避難している人々が必要とする援助を届けることができました。6日以降、UNHCRとパートナー団体は、地震の影響を受けたシリアの人々に、保湿性の高い毛布、マット、ソーラーランプ、冬服といった救援物資の備蓄を配布しています。

「これは危機の中の危機なのです」
荷下ろしされる保湿性の高い毛布や調理器具等の救援物資

被災者の多くは、震災以前から困窮した生活を送っていました。トルコとの国境に近い北西部では、12年にわたるシリアの危機の中で、すでに何百万人もの人々が家から避難していました。経済の混乱と物価の高騰が重なり、多くの人々が日々生き延びるために苦闘しています。

「これは危機の中の危機なのです」と2月10日の記者会見でシヴァンカ・ダナパラUNHCRシリア代表は述べました。「シリアではすでに680万人が国内避難民となっており、これは地震発生前の話です。彼らは非常に困難な状況で、非常に脆弱な住宅に住んでいる人々であり、もちろん、最も大きな打撃を受けているのです。」

「何が起こるか分かりません」
シリア・アレッポのスレイマン・アルハラビ地区にあるモスク内に避難する家族

地震発生直後、シリア北西部のUNHCRパートナー団体は、最も脆弱な立場に置かれている被災者に対し、事前に備蓄していた救援物資を配布することができました。しかし、トルコからシリア北西部へ国際援助をトラックで運ぶための唯一の道路が損傷したことで、より多くの援助を運ぶための活動に支障が出ていました。

道路が開通したことで、2月9日にはトラック6台で構成される最初の国連援助輸送隊が到着し、さらに多くが向かっています。

当面はすべてを失った人々へ命を守る援助を実施し、冬を乗り切れるように助けることに重点を置いています。

マゼンさんは、家族が滞在しているアレッポの屋根付き市場の店先で、自分が幸運な人間の一人であることを自覚し、今のところはあまり先のことは考えないようにしています。

「今この時のことしか考えられません」と彼は語りました。「明日は何が起こるか分からないのです。しかし今は“神に感謝を”、私たちは安全です。」

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