コンゴ民主共和国からタンザニアに逃れ、再定住で新たな希望を得た難民家族

公開日 : 2024-07-23

ダルエスサラーム(タンザニア)2024年6月28日 ― タンザニアのニャルグス難民キャンプで28年間過ごした後、イキャンバ・アロンダさん(49歳)と妻のヨハリさん、そして10人の子どもたちは苦闘と変化、そして再出発への希望を体現し、アメリカ合衆国へと再定住に旅立とうとしています。

1996年、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)にあるイキャンバさんの故郷の町で激しい暴力行為が勃発、家族は命がけの避難を強いられました。

「私たちは言葉にはできない恐怖を目撃しました」と父親であるイキャンバ・アロンダさんは回想します。「目の前で叔父が撃たれるのを見た瞬間、私たちが生き残る唯一のチャンスはここを去ることだと悟りました」と彼は語りました。

安全への旅は、危険に満ちていていました。彼らは2週間に渡って深い森を歩み、タンガニーカ湖畔の安全な場所にたどり着きました。そこからタンザニアへ入り、ニャルグス難民キャンプへ避難したのです。

キャンプで暮らし、イキャンバ一家は不安ながらも平常心を取り戻しました。

「このキャンプが私たちの家となりました。私たちが10人の子どもを育てた所であり、私たちの痛みと希望を分かち合うコミュニティを見つけた場所でもあります。

新たな人生への門出

何年にもわたる厳しい申請プロセスを経て、イキャンバ一家は2023年12月、ついにアメリカ合衆国への再定住が決定したという知らせを受けました。より良い未来への希望が新たにもたらされたのです。

「その知らせを受けた時、私たちはまるで新しい人生への門出、新たな出発を与えられたような気がしました」とイキャンバさんは言いました。「コンゴでは戦闘が絶えず、帰国することは不可能でした。そして土地と生計手段を失った私たちに何ができるのでしょうか?長年キャンプで暮らしてきたことで、私たちのルーツからも遠ざかってしまいました。そこは決して同じではなかったでしょう」と彼は付け加えました。

「アメリカに再定住するこの機会によって、子どもたちがより良い教育を受けられるという希望と、私が再び稼ぎ手として家族を支えるチャンスが与えられました。この機会を与えてくれたことに、心から感謝しています」とイキャンバさんは語りました。

子どもたちの安全、そして未来のために

イキャンバの2人の子どもと孫娘は、すでに出発しました。

「一番良い服を着て、友人や家族に囲まれながら、私たちは彼らがバスに乗り込むのを見守りました。キャンプは歓声と涙に包まれました。それは、彼らの胸に刻まれた別れでした。この瞬間が、彼らのキャンプ生活の終わりであり、新たな地平へ向かう旅の始まりだったのです」とイキャンバさんは回想しました。

「私たちの願いは、子どもたちに安全な未来を築くことです」
イキャンバ・アロンザさん(コンゴ難民)

UNHCRにとっての重要な優先事項は、避難を余儀なくされた人々の避難のサイクルを終わらせるための長期的な解決策を強化することです。UNHCRは、難民が自発的かつ安全に母国に帰還できるよう支援すること、難民が避難した国に統合すること、あるいは難民が第三国に避難し、再定住することのいずれかを通じて、強制的に避難を強いられた人々の苦境を持続可能な方法で終わらせることに尽力し続けています。2023年、UNHCRタンザニアは、主にオーストラリア、カナダ、フランス、そしてアメリカ合衆国へ、約8000人の難民の再定住をサポートしました。

イキャンバさんにとって、これからの旅は、興奮と不安でいっぱいです。

「私たちの願いは、子どもたちがアメリカで安全な未来を築くことです。そして子どもたちがより良い未来を築くために、スポーツの才能から少しでも恩恵を受けられることを願っています」とイキャンバさんは説明します。「でも、新しい文化や法律システムに適応するのは大変でしょう。」それでも、イキャンバさんは勇気を携え、楽天的に出発する決意を固めています。

第三国定住という解決策

2012年から2023年の間に、コンゴ難民3万人以上がタンザニアから再定住し、新たなスタートを切りました。しかし、大きな課題が立ちはだかっています。現在、UNHCRがタンザニアに逃れる難民への対応に必要な資金は15%しか充足されていません。特に再定住に関しては、依然40%が資金不足となっています。

UNHCRはタンザニアに逃れてくる難民への対応のためのサポーターの方々からの支援強化を緊急に訴え、難民が尊厳と機会、そして希望に満ちた未来を築けるよう援助活動を続行します。

Sishuo Zhu

原文はこちら(英文)
Resettlement brings renewed hope for Congolese refugee family in Tanzania


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