第19回難民映画祭・映画紹介 『孤立からつながりへ ~ローズマリーの流儀~』 難民をエンパワーするのは、コミュニティとのつながり
オーストラリアで、難民として生きていく苦労を乗り越え、明るく前向きなローズマリー。彼女との出会いは心を閉ざした難民・移民女性たちの人生をどう変えていくのか。
公開日 : 2024-10-18
現在、オーストラリアには、母国での紛争から逃れ、難民として暮らしている女性が多く存在する。戦争によって家族と離れた女性、過去にDV を受けた女性、夫に支配され思うように出歩けなかった女性など、多くの人たちが様々な過去を抱えて暮らしている。現在、報告されているだけでも、難民全体の約30%が、過去に拷問やトラウマを経験している。難民の人々は、移住して新しい環境を手に入れた今もなお、困難を強いられている。
主人公ローズマリーはオーストラリアに移り住んだ頃、居場所を作ることができず、深い孤独を感じていた。自分と同じような孤独を味わってほしくない、そう思った彼女は、同じような思いを持つ難民・移民女性たちに手を差しのべる。地元警察との協力、難民・移民女性のためのホームステイ、パーティーなど、彼女の働きを通して、女性たちはオーストラリアで新しい自分の居場所を作り出していく。チェンジメーカーと呼ばれるローズマリーが、難民・移民女性の母として寄り添う姿を、本作品で描いている。
オーストラリア出身の映画監督、ロス・ホーリンは、これまでに本作品を含め、計2本の映画を手がけてきた。本作と同じく難民女性を描いた、彼女のデビュー作『ザ ボーカム ヒルズ アフリカン レディース トループ』は、メルボルン国際映画祭で上映され、多くの支持を得た。
どうすれば異国の文化や言語の人と障壁なくコミュニティを持つことができるのか。この映画では、難民が感じる暗く深い「孤独」をテーマに、難民を受け入れる側の立場として何ができるのか、多様性とは何かを考えさせられる。私たちはこの現状に目をそらさず、当事者として考え続けなければならない。そして、1人1人の勇気ある行動が難民にとっての大きな助けになるのではないだろうか。
制作:広島安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻 池田舞、梶村日和、堂免春菜、東琴美、横田菜々、吉山晴夏
参考:
https://rosemaryswaythefilm.org
https://www.roninfilms.com.au/person/14401/ros-horin.html
https://www.cnn.co.jp/world/35211123-2.html
https://www.unhcr.org/news/stories/kenyan-powerhouse-improving-womens-lives-australia
第19回難民映画祭