気候変動の最前線にさらされている人々を支えてくださり、どうもありがとうございます。

公開日 : 2023-01-27

今回は、気候変動の最前線にいる難民や国内避難民を思い、温かいご支援をお寄せいただいた皆様に感謝の気持ちを込めて、UNHCRが実践している気候変動に関連した取り組みについてお伝えいたします。

UNHCRが各地でリードするシェルターと援助物資の支援

緊急対応と持続可能な対応の両立を目指して
空路か現地調達か

緊急事態において援助物資は人々の生存に不可欠であり、即座に配備する必要があります。しかしそこには、援助物資のロジスティクスに伴う温室効果ガスの排出という課題があります。物資の生産・調達、難民の手に届くまでの工程で発生する温室効果ガスは、UNHCRの活動に伴う総排出量の約60%を占め、UNHCRは緊急事態における人命の安全確保と環境的に持続可能な対応のバランスを常に模索しています。

たとえば緊急事態において、UNHCRは人命を第一に考え、援助物資等の輸送に空路を利用する必要がありますが、緊急度が高くないその他の状況で同等の品質とコストであれば、気候変動に配慮し現地調達を優先します。

気候変動に配慮した構造設計や配置、材料の調達
援助物資の仕様を変え、温室効果ガスの削減に挑む

UNHCRはすべての地域、とりわけ自然災害が最も多い地域でのシェルター支援で、第一に気候変動に配慮し、構造設計や配置、材料の調達を行っています。暖房、換気、冷房、照明には太陽の熱や光、風や雨などの自然エネルギーを最大限に活用。天候に左右されない自然な断熱性を高め、化石燃料を使用した機器への依存を最小限に抑えながら、地域にある持続可能な材料をより利用する住宅設計を模索しています。また、温室効果ガスの排出量の削減につなげるために、援助物資の仕様をアップデートしているところです。プラスチックを多用する従来のテントや防水シートのライフサイクル分析を行い、緊急および非緊急事態下での改善策や代替案となる解決策の研究と開発にも取り組んでいます。

「気候レジリエンスと環境持続性のためのオペレーション戦略2022-2025」とは

気候変動と環境悪化が避難を強いられた人々と受け入れ先に与える影響の緩和、避難先での自然環境の保全と修復によって人々の回復を支援すること、そして人道支援による環境負荷を最小限に抑えることは喫緊の課題です。UNHCRはこうした目的のために、初の「気候レジリエンスと環境持続性のためのオペレーション戦略2022-2025」を打ち出しています。

「気候レジリエンスと環境持続性のためのオペレーション戦略2022-2025」骨子

  1. 気候変動やその他の自然災害による緊急事態を予測し、備え、そして対応するために、幅広いステークホルダーと協力し、UNHCRの関与する活動の予見可能性を高める。
  2. セクターごとの対応で気候や環境に配慮し、気候変動の危機に最もさらされている国々の難民、国内避難民、受け入れコミュニティと協力して革新的な持続可能なエネルギーや森林再生プログラムを開発する。
  3. 救援物資等の計画、調達、製造工程、配送、管理といった総合的な一連の流れの持続可能性を向上させる。

同戦略では、以下のような効果を発揮する具体的なアクションを定めています(*同戦略におけるごく一部の対応例です)。

被災地のシェルター

キャンプや居住地の人々の60%が、環境的に持続可能なシェルターに住むようになる

(写真)2022 年10月、地震で被災した家屋を調べる職員。6月アフガニスタン南東部での壊滅的な地震の後、UNHCRはパクティカ州とホスト州の最も被害の大きかった15の村で地震に強い家屋1300棟を提供

エチオピアのソーラーウォーターポンプ

ディーゼル発電機で稼動している水汲み場の50%に太陽光発電を導入する

(写真)エチオピア・メルカディダでのソーラーウォーターポンプの設置風景

液化石油ガスボンベを受け取ったロヒンギャ難民

2025年末までに、セクターごとの対応の改善により、全体で17万2000トンのCO2排出を削減する

(写真)バングラデシュのクトゥパロン難民キャンプで環境負荷の低い液化石油ガスボンベを受け取ったロヒンギャ難民のハミダさん

バングラデシュの難民キャンプでの植樹

3か国が森林再生とクリーンクッキングプログラムを通じて、100万トンのカーボンオフセットを生み出すプロジェクトを立ち上げる

*日常生活や経済活動で避けられない温室効果ガスの排出で可能な限り削減努力を行い、やむを得ない温室効果ガスの排出に関しては、排出量に見合った削減活動への投資などにより埋め合わせを行うという考え方

(写真)クトゥパロン難民キャンプで植樹をするロヒンギャ難民のボランティア。シェルターの設置や薪のために伐採が進んだ土地に、数千本の木を植え再緑化の支援を実施

気候変動がもたらすさまざまな課題への取り組みと挑戦は、今も続いています

世界の難民は昨年もさまざまな自然災害に見舞われ、UNHCRはこうした事態に際し迅速に援助活動を展開。難民と同様に受け入れコミュニティの人々も含めて援助活動を行っています。気候変動がもたらすさまざまな課題への取り組みと挑戦は、今も続いています。引き続き、気候変動の最前線で深刻な影響を受ける難民、国内避難民、受け入れコミュニティの人々に心をお寄せくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

UNHCRは故郷を追われた人々の命を生活を守るため、2023年も世界各国で難民・国内避難民等への救援活動を継続していきます。「国連難民サポーター」の皆様による毎月のご支援により、UNHCRは常に救援物資を備蓄し、緊急事態に対応できるだけではなく、学校教育や自立支援といった長期的な支援を進めることができます。ぜひ、毎月のご支援、または毎月のご支援の増額をご検討いただければ幸いです。

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