第18回難民映画祭・上映作品レビュー

困難を生き抜く難民の力強さと希望をテーマにしたドキュメンタリー、日本初公開5作品を含む6作品を上映します。武村貴世子(国連UNHCR協会・国連難民サポーター)と第18回難民映画祭・広報サポーターの皆さんが上映作品それぞれの魅力をお伝えします!

公開日 : 2023-10-22

ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦 | 心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~ | 私は歌う ~アフガン女性たちの闘い~ | 南スーダンで生きる ~ある家族の物語~ | マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜 | シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦~

 

「ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦」

 

●世界的に活躍する、ベネズエラ出身の指揮者グスターボ・ドゥダメルは、決してあきらめない。音楽への情熱はもちろん、未来を担う子どもたちへの継承を通し、音楽家たちと希望のシンフォニーを奏でる。
「音楽には世界を変える力がある」その言葉を心の底から信じられる作品である。
次から次に起きる世界の危機に絶望しそうな今だからこそ、力強く生きる彼の姿から、平和への光を見出すことができるはずだ。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

●政治的・経済的な争いにより、不安定な状況にあるベネズエラ。そんな母国で生きる楽団のメンバーたちが音楽を通して勇気と希望を伝えようと必死に闘い続ける物語。指揮者グスターボ・ドゥダメルの見事な演奏はもちろん、人々のつながりや温かさも見どころである。(第18回難民映画祭・広報サポーター 鈴木)

 

●どんな環境下でも、芸術は人が生きるために必要であり、求める気持ちや情熱は誰にも奪えない。音楽が持つ「伝える」力の素晴らしさを感じると共に、「音楽家が音楽に集中できる環境が世界で整えられること」=「平和」なのではないかと、考えさせられる作品。(第18回難民映画祭・広報サポーター 栗原)

 

●この映画を通して圧政が国民にどのような影響を与えるのかを知り、その中で希望を持ち続け前に進む人々の姿に心が震えた。音楽にまつわるエピソードや演奏シーンも多く、政治や難民問題は難しいのではないかと抵抗を感じる人でも、音楽を味わいながら、世界の現実と向き合えるのではないだろうか。(第18回難民映画祭・広報サポーター 奥村)

 

●ベネズエラの情勢が悪化の一途を辿る中で、音楽家である登場人物たちが音楽、芸術の力で立ち向かい、音楽には人々を団結させる力があるのだと、希望を胸に進んでいく姿がとても勇ましい。彼らの演奏は圧巻で、音楽の可能性を信じたい、そう思わせてくれる映画である。(第18回難民映画祭・広報サポーター 佐藤)

 

    

 

 

 

「心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~」

 

●心に傷がない人などいない。しかし、その痛みが自分とは全く無関係の命を奪う争いによる傷だとしたら。子どもたちの言葉はどこまでも純粋だ。だからこそ、小さな胸に刺さった悲しみも苦しみもまっすぐに届く。生まれ育ち、家族と暮らしていた国から逃げるというのは、どういうことなのか。難民とは、どういう人たちなのか。透明感のある映像、そして、温かな思いやりの心と共に、今、この世界で最も大切にしなければいけないことを、子どもたちが教えてくれる。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

●難民の子どもたちと、彼らを支える教師が、グループワークを通して、自分の気持ちやこれまでの経験を共有していく。残酷な現実におかれた子どもたち、また、教師たちも辛い過去を抱えている。戦争や紛争がどれだけ大きな影響を与えているのか。彼らの心からの言葉に耳を傾けてほしい。(第18回難民映画祭・広報サポーター 大岡)

 

●戦争や暴力により、国を逃れて難民となった子どもたち。想像を絶する恐怖や傷を心に抱えた彼らは、新しい国での学校生活や文化に戸惑いつつも、同じ境遇に置かれた仲間たちと出会い徐々に心を開いていく。大人たちが子どもたちと向き合い、一緒に前を向いて新しい人生を歩いていく姿に心を打たれる。(第18回難民映画祭・広報サポーター 鈴木)

 

●この映画を通して、いかに紛争とは無意味で悲惨なものかを改めて感じた。心に深い傷を負いながらも、必死に前を向き、互いに助け合いながら生きる子どもたちの姿に心を打たれると同時に、この理不尽な世界を変えたいと強く思わされた。(第18回難民映画祭・広報サポーター 奥村)

 

●紛争地から逃れてきた子どもたちが、笑顔で淡々と話す姿に心が苦しくなりました。その笑顔の裏に、どれだけの傷、闇、トラウマがあるのか。「難民は拒否されている」。そんな言葉を子どもに言わせてしまう世界でいいのでしょうか。世界中のすべての人に観てほしいと思った映画です。(第18回難民映画祭・広報サポーター 佐藤)

 

●さまざまな困難を経験した難民の子どもたちが新しい土地で明るくたくましく学校生活を送る姿と、そんな子どもたちとどうやって接するべきか試行錯誤しつつ、いつも温かく彼らを見守る先生の姿がとても丁寧に描かれています。子どもたちの明るい未来を感じさせてくれる作品です。(第18回難民映画祭・広報サポーター 西島)

 

        

 

 

「私は歌う ~アフガン女性たちの闘い~」

 

●好きな音楽を聴き、ライブやフェスで音楽を楽しみ、歌手やバンドで成功したいという夢を持つ。それは平和があってこそできることだと痛感する。女性は優勝したことがないというアフガニスタンのオーディション番組で、女性であるがために様々な妨害を受けながらも、夢の実現のために突き進む女性たちの姿が眩しい。しかし、どんな試練にも負けずにいた彼女たちが、タリバン復権により、あっという間に絶望に突き落とされる。その表情はあまりにも悲痛だ。2021年の夏、ニュースで見ていたアフガニスタンの状況からは決してわからない、その地で生きる人々の現実が、ここにある。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

●多くの人から批判されても、自分の夢と国の将来のために歌うことを諦めず挑戦し続ける女性たち。彼女たちの葛藤や苦悩、そして、それを乗り越えていく強さと彼女たちが披露する美声も見どころである。(第18回難民映画祭・広報サポーター 鈴木)

 

●女性というだけで、脅迫をされたり、人生に制限がかかる中で、恐怖に立ち向かう3人の女性は誰よりも勇ましい。また、2021年にタリバン政権が復権した現実を映像が捉え、その緊張や絶望感が伝わってくる。独身女性は家を借りることすらできない。そんな社会に立ち向かう姿を多くの人に見てほしい。(第18回難民映画祭・広報サポーター 佐藤)


●女性というだけで、すべてにおいて弱者の立ち位置になり、夢を追いかけることさえ許されないような残酷な現実に打ちのめされた。難民として、祖国や共に生きる女性のために闘い続ける意志の強さに感銘を受け、自由、そして平和とは何かについて考えさせられる、すべての人に観てもらいたい作品。(第18回難民映画祭・広報サポーター 石田)


            



「南スーダンで生きる ~ある家族の物語~」

 

●亡き愛する人の思いを背負って生きていく。それは容易いことではない。国の平和を築き上げるために、母、そして妹が懸命に向き合う姿をカメラに収めるのもまた、家族である姉だ。真摯な志と葛藤を胸に、挑戦を続ける彼女たちの生き様を見て、平穏の花が咲くことを願わずにはいられない。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

●スーダンのことを何も知らなくても見入ってしまう作品! 南スーダンの母のたくましさに驚いた。(第18回難民映画祭・広報サポーター 山下)

 

 


            



「マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜」

 

●日々の生活で欠かせなくなったLINEをはじめとするコミュニケーションツール。文字や動画、音声ファイルを送り合うことで瞬時に相手と繋がる。家族や友人、愛する人と交わすスマートフォンの画面も、見慣れた日常の景色の一つだ。この映画はまるでLINEの画面のように、難民の移動とそれを見守る人とのやりとりが次々と映し出されていく。そして、信じられないような現実を目の当たりにする。アフガニスタンを脱出した10代の青年SKが、「SUPER HAPPY!」と告げるのはどんな瞬間なのか。それを知った時に、あなたの中できっと難民と呼ばれる人が何を求めているかがはっきりとわかるはず。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

前作「シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦〜」に出演した1人の少年にフォーカスが当てられた作品。17歳になった彼は、とても17歳には見えず、今までの苦労が顔に刻まれている。険しい道のりを進んできた彼が、どのような生活を手に入れることができるのか。勇敢で逞しい彼の人生を見てほしい。(第18回難民映画祭・広報サポーター 佐藤)

 

難民と聞くと遠い国の遠い存在に感じられるが、彼らにも生活があって友情がある。遠い国のことをジブンゴトとして捉えられる作品だ。(第18回難民映画祭・広報サポーター 山下)

 

17歳の青年SKは、国境を越えることをゲームと言い続けた。ゲームと呼ぶことで自分のマインドをコントロールし続けた彼の精神力の強さに圧倒されるとともに、力強く勇気を与えてくれる作品だ。(第18回難民映画祭・広報サポーター 森)

 

            



「シャドー・ゲーム~生死をかけた挑戦~」

 
シリア、アフガニスタン、スーダン…世界各地の紛争から生き延びるためにヨーロッパの国境を越えようとする10代の若者たち。本来ならば自由に未来を描ける未成年の子どもたちが、死を覚悟しながらその「ゲーム」に挑む。過酷な現実に深く傷づきながらも、彼らは平穏な暮らしのために、歩みを止めない。争いによって犠牲になっているのは誰なのか。その事実を知ることで私たちにできることがあるはずだ。(国連難民サポーター 武村貴世子)

 

10代の少年たちが生き延びるために、ヨーロッパを目指して命の保障がない旅に出る。平和に安全に暮らして勉強がしたい。その切実な思いが叶わない世界でいいのだろうか。「これは死ぬか生きるかのゲームだ」と過酷な道を歩いていく彼らの姿を見て、あなたの心に響くものがあるはずだ。(第18回難民映画祭・広報サポーター 佐藤)

 

世界にはこんなに危険なゲームがあるのかと驚いた。彼らの日常がこんなにも悲惨なら知りたくなかった。けれども、目を背けてはいけない作品。(第18回難民映画祭・広報サポーター 山下)

 

         

 

武村貴世子(国連UNHCR協会・国連難民サポーター)
ラジオDJ、MC、ライター。
ニュースからエンターテイメントまで、旬の情報収集に余念がなく、ライヴ、映画鑑賞は年間平均200本を超える。
ラジオでの映画紹介コーナーはもちろん、舞台挨拶や公開トークイベントなど、映画に関する司会でも活躍。
Instagramでは「#武村貴世子映画記録」で多くの映画レビューを発信している。

 

 

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