平和と故郷への帰還を切望するレバノンの避難家族

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、レバノンでの致命的な空爆によって避難を余儀なくされている約120万人の窮状を軽減するため、国際的な支援の拡大と即時停戦を強く求めます

公開日 : 2024-10-08

レバノンの首都ベイルートのブルジュ・ハムード地区にある学校は今、かつては子どもたちの声が響いていた教室や廊下が、数百人を殺戮し、全国で推定120万人に避難を強いている、2週間に及ぶ致命的な空爆から逃れる疲れ果てた家族で埋め尽くされています。

ベイルート(レバノン)2024年10月6日 ― 教室の1つは今、南部の都市ナバティエから来たレバノン人女性ウム・ハッサン・バイシさんの家となっています。彼女は、自宅が大きな被害を受け、娘と孫たちを連れて避難して来ました。首都に到着するまでの2日間の困難な車での旅の後、彼女と娘は数日間路上で寝泊まりし、子どもたちは車の中で寝ました。

「砲撃の中、娘を連れて逃げました。かろうじて逃れました」とウム・ハッサンさんは言いました。「学校に私たちのためのスペースが見つかるまで、2~3日は外で寝泊まりしました…私たちだけではなく、全員が精神的に消耗しています - 全員が、です。」

彼女たちは他の避難家族と教室を共有しています。マットが床に並べられ、持ち物はビニール袋に詰められ、生徒用のコート掛けに壁から吊るされています。

学校内の状況を快適ではないと語ったウム・ハッサンさんですが、路上にいるより“100万倍いい”と彼女は語りました。彼女や現在学校で生活している1200人が何よりも望んでいるのは、攻撃の終結と、故郷に戻れるような、危機の恒久的な解決です。

「私の家の半分は破壊されました」と彼女は言いました。「家に戻り、この状況が解決され、避難しているすべての人が故郷に帰ることを私たちは望んでいます。私たちは…元の生活に戻り、生活を再建することを願っているのです。」

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は10月6日、レバノンを訪問し、この学校で暮らすウム・ハッサンさんやその他の家族と面会。連帯の意を表明すると共に、被害者への支援を呼びかけました。その後、グランディ高等弁務官は今すぐの停戦と、広がりつつある人道的大惨事に対応するための国際支援の拡大を求めました。

加えてグランディ高等弁務官は「もちろん、この学校のような場所に取り残された人々に、食料、現金、水、衛生用品、日常生活に必要な物品といった基本的なものを提供する必要があります」と述べました。「しかし何よりも、この状況を止めることが必要です。この国に最も必要なのは、何よりもまず停戦なのです。避難を強いられるすべての人と被害を受けた人が通常の生活を取り戻せるように。」

UNHCRの緊急対応

9月23日、イスラエルによる空爆が激化して以来、UNHCRチームは政府の対応を援助してきました。スタッフは毛布、マット、医療用外傷キットなどの緊急物資を届け、避難家族を収容するために学校やその他の公共施設に当局が開設した一時避難所900か所の多くに設備を整えています。

シャザ・ファリスさん
シャザ・ファリスさん(59歳)家から逃れた後、家族と滞在しているベイルートの兄のアパートのリビングルームにて

政府が推定する120万人の避難者に加え、シリア人、レバノン人、パレスチナ難民を含む20~30万人が空爆から逃れるためにレバノンからシリアへ、国境を越えました。

首都のバルビール地区に住むシリア難民シャザ・ファリスさん(59歳)は、2013年にダマスカスから逃れて以来、レバノンで暮らしています。2週間前の激しい空爆の中、ベイルート南部郊外の自宅を脱出した彼女と家族は、兄が妻と4人の子どもたちと共に住む3LDKの小さなアパートに押し込められています。

「どんな決断をするも時間ありませんでした。攻撃が始まるとすぐ、逃れました」とシャザさんは語りました。「私の孫娘は、9歳、7歳、3歳です。彼女たちは泣き叫んでいました。長女はこう言いました“戦争から出して。ここで戦争が起きているの。ここにいたくない”。」

シャザさんはNGOカリタスでボランティアとして働き、自分の家族が避難しているにもかかわらず、できる限りの援助を続けています。

「私たちは、レバノンの人々や同僚たちが避難しているのを確認しています。泊まる場所や食事といった必要なものを提供するため、できる限り彼らを援助しようとしています」と彼女は説明しました。「レバノン人であれ、シリア人であれ、パレスチナ人であれ、ここにいるすべての人を確認します。私たちはみな人間なのだから。」

現在進行中の危機の影響を受けているすべての人々と同様に、彼女の一番の願いは、一刻も早く日常を取り戻すことです。「状況が良くなり、家に帰り、安全な生活に戻れることを願っています」とシャザさんは最後に言いました。「神が負傷者を癒し、レバノンに安心と安全が戻ってきますように。」

Dalal Harb and Houssam Hariri

原文はこちら(英文)
Displaced families in Lebanon yearn for peace and a return home


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