第18回難民映画祭・映画紹介『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』

南スーダン和平の危機、亡き夫との夢の実現に奮闘する 「南スーダンの母」を映画監督の娘が追う『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』のご紹介

公開日 : 2023-10-18

独立後、南北間での大きな争いの歴史を持つスーダン。北部と南部の宗教の違いがスーダンの社会に埋められない溝を作った。1983年、レベッカは自由を求める南部の人々のため、夫とともにスーダン民族解放運動(SPLM)を立ち上げる。夫を亡くした後も、彼女は戦うことをやめなかった。亡き夫や家族に対する想い、不安定な社会を担う者としての葛藤、そしてこれからの南スーダンの展望を娘であるアクオルのカメラが捉える。

1952年のエジプト革命をきっかけに、英国とエジプトの共同統治下であったスーダンは独立に向けて動き出し、1956年に独立を果たした。しかし、北部と南部の宗教的対立は激しく、第一次スーダン内戦 (1955-1972)、第二次スーダン内戦 (1983-2004) で多くの犠牲者を出すことになった。その後、2011年に南部が南スーダンとして独立を果たすが、この内戦でも200万人が死亡、400万人以上が近隣諸国に避難したと推定される。長期にわたる内戦を経て南スーダン政府と反政府組織は和平合意に達したものの、国民は依然として暴力や食糧不安、洪水など、苦境に立たされている。また、この映画の監督アクオルのように亡命先で育った若者たちは、職業探しや南スーダン人としてのアイデンティティの確立にも苦しんでいる。

キューバで生まれ、ケニアの首都ナイロビで育ち、現在南スーダンで活動する映画監督。これまでに長編映画1本と短編映画4本を手掛けてきた。本作品 No Simple Way Home は長編映画としてのデビュー作品で、さまざまな国際映画祭にノミネートされ、2022年国際ドキュメンタリー映画祭ミュンヘンでDok.horizonte賞を受賞したほか、ベルリン国際映画祭において南スーダン映画として初ワールドプレミア上映されるなど、南スーダン映画に新たな歴史を作った。

世代を超えて南スーダン人としてのアイデンティティをどこに求めれば良いのか。本ドキュメンタリー映画は、南スーダンに暮らす家族の姿を通して、この国の進むべき方向を考えさせる。アクオルは、世界中の人々が持つアフリカのイメージの刷新と国内の女性蔑視問題の改善を目的に映画製作を続けている。

※この記事は、安田女子大学のJohn McLean准教授のゼミ生26名が、第18回難民映画祭をより多くの方に広めるためにボランティアで制作したものです。

制作:安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻:今村萌 井上乃愛 藤井なつみ 咲賀美里
編集:安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻:小林千裕 神島奈津 橋本真和 神島奈津 中島萌々香 樋口てれさ 川原奈津希
参考:
“南スーダン.” 国連UNHCR協会. Accessed August 13, 2023. 
“About.” Akuol de Mabior. Accessed August 14, 2023. 
“South Sudan.” UNHCR. Accessed August 14, 2023.  
“South Sudan Country Profile.” BBC News, April 18, 2023.  
“South Sudan Situation.” Global Focus. Accessed August 14, 2023. 

 

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