第18回難民映画祭・映画紹介『心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~』

難民・移民の子どもの回復を描くドキュメンタリー映画『心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~』のご紹介

公開日 : 2023-10-18

カナダ・ケベック州では戦争や紛争地での暴力により心に大きな傷を負った多くの子どもが生活している。 彼らは、自国での戦争や暴力から逃れることはできたものの、これまでとは全く違う言語、文化環境に適応しなければならず、貧しい生活を余儀なくされている。戦争から逃れても彼らの苦しみは終わることはないのだ。また、一言で難民と言っても、それぞれが異なったトラウマを抱えており、子どもたちは困窮した生活の中で自分自身の存在意義を見失っている。彼らが再び自分の人生に意味を見出すためには何が必要なのであろうか。故郷を追われ新しい土地で生活していく中、彼らは周囲の人々のサポートを得て自身が負ったトラウマと向き合い、壮絶な過去を乗り越えて大人へと成長していく。「第18回難民映画祭2023」で公開される『Unspoken Tears』はその様子を追ったドキュメンタリー映画である。
カナダは難民の受け入れに積極的で、毎年40万人以上を受け入れている。この映画は、心理学者のガリン・パパジアン・ゾラビアンのサポート活動を中心に、難民の子どもたちが自身の過去と向き合うの姿を映し出していく。ガリンは、自身が幼少期にレバノン内戦を経験し長年トラウマで苦しんだことから、戦争によるトラウマで苦しむ子どもたちを支援するために難民が多いカナダのケベック州で活動している。ガリンは、難民の子どもたちに、それぞれのトラウマとどうどのように向き合っていけばよいのか、また現地の学校の教師たちに、どのように難民の子どもにと向き合うべきかを指導していく。同時に、この映画は、リベリアの難民キャンプで性暴力により若くして子どもを持った17歳の少女マンジーの人生や、モントリオール州の小学校教師のであるアレスキ・テルケマニが、難民としてカナダに来た子どもと関わることで難民について理解を深めていく様子を追う。

このドキュメンタリー映画は、難民の子どもが困難に立ち向かい成長する過程での支援の重要性を描いている。西洋社会における移民問題にも焦点を当て、子どもの権利への理解を深め、社会全体へ意識の向上を呼びかける作品となっている。
 

※この記事は、安田女子大学のJohn McLean准教授のゼミ生26名が、第18回難民映画祭をより多くの方に広めるためにボランティアで制作したものです。

 

制作:安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻:池田舞 川原奈津希 塚原智保 紀遥香 堂免春菜
編集:安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻:小林千裕 神島奈津 橋本真和 中島萌々香 今村萌 井上乃愛
参考:
“バイデン氏、アルメニア人大量殺害は「ジェノサイド」 米大統領の表明初めて.” BBCニュース, April 25, 2021. 
“レバノンと難民問題|パレスチナ子どものキャンペーン.” 子どもたち平和と未来を(NPO). Accessed August 14, 2023. 
Mullen, Pat. “Now Streaming: Unspoken Tears Observes the Healing Process for Young Refugees.” POV Magazine, October 5, 2022. 
“The Armenian Genocide (1915-16): Overview.” United States Holocaust Memorial Museum. Accessed August 14, 2023. 

 

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