第18回難民映画祭・映画紹介『マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜』

アフガニスタンから脱出した少年の壮絶な旅路と新たな挑戦『マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜』のご紹介

公開日 : 2023-10-18

世界には母国で安心して生活している人々と、母国であっても不安な毎日を過ごしている人々がいる。ドキュメンタリー映画“THE MIND GAME”は、アフガニスタンの紛争で父親を失い、タリバンから命を狙われたサジド・カーン・ナシリ(通称SK)の孤独な旅を追う。SKは15歳にして西ヨーロッパで保護を求める命懸けの旅「ゲーム」に挑み、仲間と共に肉体的、また精神的な試練に立ち向かっていく。2年間に及ぶ苦難に満ちた旅を「ゲーム」と呼び、最終目的地到着後も直面した「マインド・ゲーム」の様子を自身の携帯電話のカメラでありのままに映し出す。
当時のアフガニスタンは治安が悪く、タリバンやアルカイダといった武装勢力との紛争が続いていた。SKは父親の命をタリバンに奪われ、次は自分が殺されると思い国外逃亡を余儀なくされた。イラン、トルコ、その他東ヨーロッパ諸国を経由し西ヨーロッパを目指す中で、国境警備隊に追い詰められながらも旅をする様子を携帯電話のカメラに収め続けた。SKはこの旅を「ゲーム」と呼んでおり、国境を不法に越える為に貨物列車や船に飛び乗るなどの肉体的な試練や、道中での友人の死から立ち直るなどの精神的な試練を乗り越えることを意味している。全てが命を懸けて行われていく中で、彼の最終目的地や未来への希望についても明らかにされていく。SKは最終目的地となったベルギーに到着した後、新たな「マインド・ゲーム」に直面した。難民であるSKは政府に庇護を求めたものの、簡単には受け容れてもらえず、さまざまな試練や困難が伴ったのである。本作品は、彼の孤独な旅の様子や数々の困難に立ち向かっていく姿を鮮明に捉えている。

SKは多くの危険や困難を伴う旅を乗り越え、運良くベルギーで保護された。しかしながら、SKが旅を通して経験した苦難は、今もなお世界中の子どもたちが直面している問題であることが現実だ。戦争や紛争によって祖国を追われた人は世界中に数多く存在するものの、現状として彼らが難民として他国から保護され、受け容れてもらえることは極めて困難である。2年間にわたるSKの壮絶な旅は、いかに難民問題が深刻であるかをさまざまな痛感させる。現在もまだSKのような難民は多く存在するが、私たちにできることは何か。この物語を通して、改めて世界で起こる重要な社会問題に向き合い、積極的に取り上げていく必要がある。

 

※この記事は、安田女子大学のJohn McLean准教授のゼミ生26名が、第18回難民映画祭をより多くの方に広めるためにボランティアで制作したものです。


制作:安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻:重森理紗 前原萌美 松江美怜 樋口てれさ

参考:
https://www.unhcr.org/countries/belgium
https://www.japanforunhcr.org/activity-areas/europe
アフガニスタン | 国連広報センター (unic.or.jp) 

 

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